MENU

Journal

こんにちは、commonoデザイナー/翻訳者の内村です。デザインとマーケティングの接点についての3話目です。

マーケティングについて考えるときに、前回考えたPDCAと同様によく聞くのが、”4P”という言葉かと思います。最近では「今は4Pじゃなくて、4Cの時代だよね」というような話もよく聞きますね。

しかし、本当にそうなのでしょうか。そもそもこれらの単語をつかって何を言いたいのか、というところからおさらいしてみましょう。

まずはおなじみwikipediaの定義によると、こうあります:

”マーケティングミックス(英: marketing mix)は、マーケティング戦略において、望ましい反応を市場から引き出すために、マーケティング・ツールを組み合わせることである。つまり、企業や非営利組織が顧客や生活者に商品やサービスの販売をしたり、何かを遂行したりするために、マーケティングの使用可能な複数の手段を組み合わせて戦略をたて、計画、実施すること。マーケティングミックス要因にはさまざまなものがあるが、今日、4P理論と4C理論に集約できる。”

引用:wikipedia

わかるようなわからないような説明ですが、必要な情報はここから得ることができます。つまり大事なのは、4Pにも4Cにもいえることとして、「マーケティングに関わるいくつかの要素があって、それの組み合わせが大切なんだよ」という考え方である、ということなんですね。

いくらいい製品やサービスでも、価格設定が間違っていたり、ターゲットにリーチできるプロモーションが出来なければ売れないわけで、複数の組み合わせ、あるいはバランスでものを見なくてはいけないというのがこれらの理論共通の思考です。そう考えると、4Pが古いとか、4Cで考えないといけないというのではなく、自分のやっているプロジェクトにどちらが合うか、という問題になってきそうですね。それぞれの内容を復習しておくと、

4Pは
・Product(製品)
・Price(価格)
・Promotion(プロモーション)
・Place(流通)

4Cは
・Consumer(消費者のニーズ)
・Customer cost(顧客コスト)
・Communication(コミュニケーション)
・Convenience(流通は利便性)

となり、立ち位置として4Pは企業側に、4Cは顧客側に軸足を置いた理論であることがわかります。同じものを別方向から呼び名をつけている、という印象もなくはないのですが、確かに4Pは、「物品のやりとり」しか想定していない時代のマーケティングミックス、と言えそうです。

しかし、考え方としてさびれているかと言われると、僕はそうは思いません。この4つのバランスを考慮することで、自分たちのマーケティングの「穴」や迷走しそうな兆候を洗い出すことは、現代でも十分にできるからです。

例をあげて考えてみましょう。4Pの成功例としてよくあげられるスターバックスですが、4つの要素の整合性とバランスがやはり非常に際立っています。ひとつづつ考えてみましょう。

・Product(製品)≒ Consumer(消費者のニーズ)
スタバはコーヒーチェーンですが、世界展開しており、その国のニーズを踏まえた商品展開をしています。抹茶フラッペチーノ大好きな女子とか結構いますよね。あれは日本のみの展開ですし、ショートサイズもそうです。実際のニーズにミートすることを追求しているというわけです。

・Price(価格)≒ Customer cost(顧客コスト)
スタバのドリンクの値段は高いでしょうか、安いでしょうか。おそらくそれはあなたが「何と比較するか」ということになるかと思います。コンビニのコーヒーと比べればもちろん高いのですが、ホテルのラウンジや独立カフェでコーヒーを頼めば、簡単に800円くらいする訳ですから、そこと比べれば安いですよね。こう考えていくと、スタバがどの客層を引き込もうとしているかが見えてきます。今までコーヒーに1000円近く払ってきた層に同等のエクスペリエンスを格安で提供しようとしており、その戦略は今の所ハマっているのだ、ということができると思います。

・Promotion(プロモーション)≒ Communication(コミュニケーション)
スタバは広告宣伝を行っていません。ターゲットとなる顧客どうしの口コミに頼ってプロモーションを行っているということになります。なので、スタバの「神対応」の話とか、そこであった驚くようなエクスペリエンスの話題がネットでよく広まりますよね。あとは、日本でどれほど浸透しているかは微妙ですが、家庭でも職場でもない「サードプレイス」というコンセプトの浸透があります。コーヒー店というより、リラックスしたり勉強したりする場所として、家の部屋や図書館などからシェアをとろうとしている、ということが見えてきます。

・Place(流通)≒ Convenience(利便性)
スタバが日本で展開を始めるにあたり、一号店として選んだ場所は銀座でした。ターゲットが高めのコーヒーを好んで飲んでいた層とビジネスマンでしたが、この選択は狙っていた層にインパクトを持って迎えられる結果となりました。ターゲットにとって便利であるというだけでなく、高級な割には格安、というブランディングも兼ねていたわけですね。

と、ざっとこんな感じになると思います。4つの要素のクオリティをそれぞれ上げることも必要ですが、それよりも重要なのが、要素どうしの整合性とバランスです。ここでもし、価格設定をコンビニくらいにしていたら、どうなるでしょうか。望む客層ではない人たちであふれてしまい、サードプレイスどころではない、という事態が生じそうです。あるいは、価格帯を変えずに人気アイドルを使ってCMを打ったとしたらどうでしょうか。この場合も想定していない顧客が一度だけ来て、身の丈に合わない価格でコーヒーを飲み、リピートにはつながらない、「スタバって高いよね〜」という口コミだけが広がる、という循環が始まることでしょう。

大事なのはこの4要素すべてを俯瞰してバランスを見る、ということです。大きな企業ですと、それぞれの要素がすべて別々な部署でプランニングされることが多くなりますから、上記のような齟齬が生じることはままあるものです。

なので、(時には外部から)デザイン・シンキングを取り入れ、包括的に4P(あるいは4C)を行うというのが現在、マーケティングでの大きな流れになっています。デザイナーという仕事が、見た目を演出することから、マネジメントや企業の成長をデザインする、という役割に変化してきています。この潮流に乗り遅れないためにも、上記のようなマーケティングの基本的な思考法を、たしなみとして身につけておく必要が、あるのかもしれませんね。

次回は4Pとデザイン・シンキングとの関連をもう少し掘り下げます。

Journal

CLOSE