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こんにちは、commonoデザイナー/翻訳者の内村です。UXデザインの2話目になります。

乱暴にまとめると、「人は理性ではなく感情で動くいきものだ」という前提に基づいて製品やサービスを提供するのが、UXデザインの核になる考え方だと言えます。しかし、自分が感情的になっている「だけ」では相手の感情を揺さぶることはできません。広告であれ音楽や演劇の舞台であれ、心を動かす演出を行うためには、緻密な計算が必要です。

では、心を動かすUXを、どのように演出すればいいのでしょうか。

情報アーキテクチャ論の先駆者といわれるピーター・モービルという人物が、「UXハニカム構造」というものを提唱しています。まずは下図をご覧ください。

「ハニカム」とは、”honeycomb” の音訳で、「蜂の巣型」の正六角形を組み合わせた構造のことを言います。上記の図では、ユーザにとって「価値がある」という要素を中心に、6つの要素が挙げられています。この7つがバランス良く演出されていると、「優れたUXデザイン」と言えるというわけですね。

ひとつひとつを簡単にまとめていきましょう。

1. Useful: 「有用である、役に立つ」ということですね。こんな時にこのサービスがあって「良かった〜、助かった〜」、という感動を提供できるかという部分を追求します。

2. Usable: 「使いやすい・便利」という部分です。「効率」だけでなく、「効果的であること」を追求します。「ここまで気遣いが行き届いてるのか〜」と、感動してくれます。

3. Findable: 「探しやすい、目的地に迷わず辿り着ける」。実店舗で買い物をしている時、「ここにありそうなものなのに、どうしてないのかね」、ということがないでしょうか。webサイトでも、知りたい情報にたどり着くまでにリンクをいくつも踏まなくてはいけない、たどり着いたら今度は元いたところに戻れない、ということがあります。同じサービスを提供して、目的の場所にもっと行きやすい店やサイトがあるとしたら、そちらを選ぶのではないでしょうか。このようなマイナスの感情の動きを抑えるというのも、UXデザインの重要な役目です。

4. Credible: 「信頼できる」コンテンツの信憑性や、クオリティへの信頼の部分ですね。あなたにとっても「ここなら安心だよね」「やっぱこれだよね」という製品やサービスがあるのではないでしょうか。この信頼感を小さな感動のレベルまで持ってこれるように演出していくのが、UXデザインの仕事です。

5. Accessible: 「アクセスしやすい、誰もが見られる」という意味です。英語ではこの言葉は特に、視覚や聴覚に障害のある方の使いやすさという意味で使われます。今手掛けているサービス・製品は、どんな状態の人にも利用しやすいものでしょうか。もしこの部分でUXデザインが成功したなら、「ここのサービスは自分のことを考えてくれている!」という感動を提供できます。

6. Desirable: 「好ましい・魅力的」と訳されますが、この単語には「情がうごく」というニュアンスが強く含まれています。特にデザイン面で「グッとくる」(決して派手なデザインほど良しという意味ではありません)要素を盛り込んであげることが、ユーザの好感につながっていくというわけです。そして、

7. Valuable: 「価値がある」という中心の概念に集約されていきます。企業であれ、非営利組織であれ、UXデザイナーはその仕事を提供する先に利益をもたらさなければなりません。「このようにサービスを変えたら、こんなに良くなった!」という感動を提供することが、UXデザインの命題と言えるかもしれません。

いかがでしょうか。7つに共通する部分として、それぞれの分野を、「OK」や「及第点」のレベルではなく、「感動」に引き上げる、これが、UXデザインの根幹にある考え方です。このような話をしていて、みなさんが思い浮かべる会社がいくつかあると思いますが、そのような会社は、このことに対するこだわりが並大抵ではありません。ごくごく細かい点に至るまで、いかに顧客に感動を与えるかを考え抜いていますし、そこに莫大な費用や時間を投じ、スタッフを教育しています。

私たちは世界を牛耳る大企業ではありませんが、この分野で十分に知恵をしぼれば、ある分野においては彼らを超えることもできるかもしれません。UXデザインの追求にはそれだけの可能性が含まれていると思います。

さて、お気付きと思いますが、UXの実践には「改善」と「成長」を続けることが不可欠です。では、それらをもデザインすることは可能なのでしょうか。できるとしたら、どのように?そんな部分を3話目で扱いたいと思います。

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