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デザイン・シンキング(5)
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2017.02.03

デザイン・シンキング(5)

こんにちは、commonoデザイナー/翻訳者のうちむらです。
デザインシンキングについて書いているシリーズの最終話になります。これまで練ってきたサービスをローンチさせるために必要な最後のステップとなる部分、”Test” 「検証」についてお話しします。
その前にまず、これまでのまとめとして、今まで踏んできた段階を振り返っておきましょう。
1. 「理解」ターゲットの設定と理解
2. 「発想」ユーザの視点にたち、彼らの視点で具体的なニーズを見極める
3. 「観念化」そのニーズを満たすアイデアを量産し、その中から最良と思えるものを選定する
4. 「試作」選定したアイディアをもとにプロトタイプを作成し、機能要件、デザイン要件を満たしているか確認する。
ここまですすめば、私たちがスタートさせようとしているサービスはかなり「いいところ」まできているといえるでしょう。このままローンチに入ってもいける、と思える場合さえあるかも知れません。しかし、焦りは禁物です。自分自身の事業であれ、クライアントの開始するサービスであれ、スタートアップには必ずリスクが伴います。100%絶対に成功させるということはできませんが、適切なフィードバックの重要性は過小評価できません。古代イスラエルの諺に、「助言者の多いところには成功がある」という言葉がありますが、この言葉は21世紀も有効だといえるでしょう。
では、誰に「助言者」になってもらうのがよいのでしょうか?”Test”とは読んで字の通り、今まで練ったサービスをテストすることですが、「誰が」テストするのかという部分が最も重要なファクターになります。
まずテスターは私たち自身であってはいけません。ここまでのステップで私たちは手持ちのアイディアを出し尽くしてきました(そうでなければ、出し尽くしていないフェーズまで戻ってやりなおさなければなりません)。
このフェーズで確かめなければいけないのは、一言で言えば、ユーザ・エクスペリエンスの検証です。私たちが提供しているサービスですから、私たち自身はその筋において多少なりとも玄人であるはずです。ということは、このサービスに「はじめて触れる人」との距離がどうしても生じます。
今まで私たちはデザイン・シンキングの各フェーズで数々のキャズムを埋める作業をしてきました。まとめると、
・フェーズ1「理解」では、自分とターゲットユーザとの、
・フェーズ2「発想」では、現在と未来との、
・フェーズ3「観念化」では、理想と現実との、
・フェーズ4「試作」では、自分のアイディアと相手のイメージとの、
それぞれのキャズムを埋める作業をしてきたといえるでしょう。それは小さなブレークスルーともいえるかもしれません。大きな成功や未知の領域への突破をいきなり行うかわりに、手順を経て、小さな通り道を作り続けることで「人工的に」イノベーションを生み出すこと、これがデザイン・シンキングの行程の進め方と言えます。
さて、最後の “Test”「試行」では、何と何のキャズムを私たちは埋めるのでしょう?端的にいうと「ここまで育ててきたサービスとユーザ・エクスペリエンス」との溝を、ここで埋めるわけです。
「試行」の段階で私たちは、ターゲットの設定をもう一度厳密に行います。以下の内容を埋めましょう。
ー年齢層は?
ー生活における主な役割は?(会社員、経営者、主婦など)
ーその人が一番気にかけていることは?
ー一番ストレスに感じていることは?
ーものを購入するときの主な動機は?
ー情報を仕入れる主な手段は?
ーどんな方法でこのサービスを入手したい?
ー何曜日、何時頃このサービスを利用する?
ー家族の中での購入決定権はどれくらい?
このような詳細なリストを使ってターゲットを設定したら、それらの人に実際にサービスを試してもらいます。前回作ったプロトタイプを使用しましょう。その際に必要なことはふたつ。
1. 制限時間を設けましょう。
プロトタイプをずっと触っていると、何のためにそうしているか気持ちがブレますし、モチベーションが低下します。実際にサービスをユーザが使用するくらいの時間を設定し、それを事前にテスターに知らせてください。
2. 感情を声にだしてもらう。
あとでレポートにまとめておく場合も、その瞬間に感じた印象は忘れてしまうものです。気軽に声を発してもらい、それをこちらで記録するなら、リアルタイムで生の声を聞く機会となるでしょう。
以上の方法で行ったテストををもとに、もちろん評価を記入してもらいます。その際の評価表には、以下の質問を含めます。
・気に入った点
・こうして欲しかった点
・よくわからなかった点
・自分ならこうする、と思うこと
この4点を是非聞いておきましょう。このようにしてフィードバックをためていけば、次のアクションにつなげることができる情報が手にはいるはずです。
次のアクションとは、一体なんでしょうか?3つ選択肢がありますが、その中に、「そのまま製品化する」というものはありません。どんな天才でも、天才たちが集まったチームでも、最初から完璧な商品をつくることはできないからです。いい点、悪かった点、改善点を洗い出したら、以下のどれかのステップを選びます。
ーデザイン/機能/詳細を変更
プロダクト自体の方向性はOK、あとは見た目や機能などの詳細をブラッシュアップしていきます。おそらく3つの選択肢の中で一番「こうなったらいいな」という結果でしょう。
ーバリュー・ターゲットを変更
想定していたターゲットには響かないようだと判断した場合は、コンセプトから練り直す必要があるかもしれません。先ほどあげたターゲット設定の項目を使用して、ペルソナをもう一度練り直します。設定していたニーズ自体が実際のニーズと違う、ということに気づくかもしれません。製品化したあとでは舵を切り直すのは難しいですが、まだプロトタイプの段階です。フレキシブルに対応しましょう。
ープロジェクトを終了
残念ですが、ときには勇気ある撤退をすることも重要です。「ここまで頑張ったのに今さらやめるのはもったいない!」という状況が生じるかもしれませんが、ここではあなたの中の合理主義者を登場させましょう。この「もったいない感覚」を経営用語で「サンク・コスト」といいます。ここなどで事例がのせられていますから、反面教師として覚えておくのもいいかもしれません。
あなたがどの決断をするにしても、次のステップはフェーズ1の「理解」からもう一度手順を踏んでいきます。プロセスの循環を経て、きっと、素敵なイノベーションをローンチさせることができるはずです。
commonoでも、デザイン・シンキングのプロセスを重要視しています。webサイトのデザインでも企業ブランディング、店舗デザインでも、小さなイノベーション、ブレイクスルーを追求しています。
もしあなたの中に、ローンチさせたい企画があるなら、是非commonoに気軽に問い合わせてみてください。私たちが、あなたと協働するチームとして、企画、サービスをデザインするお手伝いをさせていただきます。
メールでのお問い合わせはこちらから
またはお問い合わせページから

Written by
Shun Uchimura

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